人は一生のうち、少なくとも三度運命の出逢いを果たすという。もし前世というものがあるのならば、そこで共に時間を過ごした人に巡り逢うのかも知れない。 幾度となく出会いと別れを繰り返すのも、縁があるから。恋はするものではなく、恋に落ちるもの。人を愛せば、その愛が真実であればあるほど、喜びよりも苦しみが募る。それでも人間は誰かを愛さずにはいられない。 出会って恋に落ち、最も辛いのは突然連絡が途絶えること。訳も分からずに孤立して、茫然と佇むばかりの迷い人。何処へ行くのか、何をすべきかも分からずに、ただひたすら彷徨う。再び優しい温もりが訪れると信じて、最果ての荒野で悲しみに暮れる。 勇気を奮い立たせて、新たに巡り逢う愛に進むのも良い。希望を胸に幸せの前髪を掴むのだ。人間は、いつまでも過去に縋ってはいられない。時は容赦なく過ぎ、前へ前へと進んで行く。 悲しみや心の痛みはいつしか癒えて、人生という大海に運命という名の舟で、意思という名の櫂で漕ぎ出して行く。羅針盤は、自分自身。夢の島へ辿り着くまでひたすら漕ぎ進む。 諦めずに漕ぎ行けば、月夜の海に優しい温もりが頬を撫で、空には希望の星が瞬く。そしていつしか安息の地へと打ち上げられる。 探し求めよ、いざ行かん未知への旅路を。手を差し伸べれば触れることの出来るところに、望み得る限りの幸運があなたが訪れるのを期待して、扉を開けて待っている。
