「執着の奥にあった、魂の記憶」 僕のこの辛い恋愛に、どうにか納得したくて。 どうしてこんなにも苦しいのかを知りたくて。 たどり着いたのが、スピリチュアルの世界だった。 そこで言われたのは、 「今の問題は過去世から来ている」と。 孤児院で育った過去があるかもしれないとか、生まれてすぐに親から引き離された魂の記憶があるとか。 最初はちょっと笑ってしまいそうになったけど、なぜか、心の深いところにいる“もうひとりの自分”が、それを聞いてホッとしたような気がした。 「ああ、だからだったのか」って。 言葉では説明できないけど、 身体の奥がふっとゆるむような、 何かが腑に落ちる感覚があった。 周りの人はよく言う。 「その恋愛、もう手放したほうがいいよ」 「執着は苦しみしか生まないよ」って。 もちろん、それもわかってる。 でも、執着ひとつとっても、 そこには壮絶なストーリーがある。 過去世の自分が、 この世界を生き抜くために身につけた“術”。 誰かを失わないために、 誰にも見捨てられないように、 必死で覚えた「つながり方」。 だけどそれは、今の時代にはもう必要のない術になっていた。 だから今、 “執着”という名で苦しみとして現れているだけなんだ。 そう思ったら、 自分を責める気持ちが少しだけ和らいだ。 この感情は、 間違いなんかじゃない。 ただ、時代を越えて残ってしまった悲しみの名残り。 それなら、 手放すことを「忘れる」ではなく、 せめて、必死に生きぬいてきた過去の自分に自分だけは「ありがとう」と言ってあげらたら なにをしても報われなかった悲しいストーリーに執着と呼ばず、今の自分から変えてあげてあげたい。
