人は、矛盾を嫌う。 言っていることと、やっていること。 求めているものと、手放してしまうもの。 愛しているのに、傷つけてしまうこと。 すべてが一致していれば、 もっと簡単なのでしょう。 なれど矛盾こそが、人間という存在の 最も人間らしい部分なのではないでしょうか。 強くありたいと願いながら、 誰かに寄りかかりたい。 自由を求めながら、 誰かに必要とされることで安心する。 孤独を愛していると言いながら、 本当は、誰かに気づいてほしい自分がいる。 どれも嘘ではない。 その瞬間、その瞬間に、 どちらも本当の自分なのです。 人は、ひとつの答えだけでは生きられない。 白だけでは描けない景色があり、 黒だけだからこそ見える光もある。 正しさだけで裁けば、 救えなくなる心がある。 理解できないものを、 間違いと呼んでしまえば、 世界はずいぶん狭くなる。 だから私は、 矛盾を無理に消そうとは思わない。 矛盾を抱えたまま、 それでも自分であり続けること。 相反する感情のあいだで揺れながら、 簡単には答えを出さないこと。 そこにこそ、 生きるということの深さがあります。 完璧に整ったものよりも、 どこか歪んでいて、説明しきれなくて、 それでも確かに存在しているものに惹かれる。 人間も、世界も、きっと同じ。 矛盾しているから美しいのではなく 矛盾しているのに、 それでも生きようとする姿が美しい。 答えの出ない問いを、 答えの出ないまま、大切にしている。 本当に知りたいことほど、 ひとつの答えには収まらない。 矛盾とは、壊れている証ではなく まだ、ひとつの言葉では語り尽くせない存在であるということ。 そんな不完全な世界も、 ひとつの美しさと受け入れたい。 響聖
