白狐:最近、油揚げのお供えがないんだ。 青龍:この暑さじゃ、すぐ腐っちゃうからね。 白狐:……なるほど。 ということは、私が嫌われたわけじゃないんだな? 青龍:えっ!そんな風に思ってたの? 白狐:だって、お供えがない。何故だろうって思ったら、 あれ?嫌われてるって? 青龍:まあ、そうだけど……。 白狐:じゃあ、そのわけを教えてくれ。 青龍:いや、だから暑さですぐ腐るから。 白狐:元々持って来たお供えはすぐ持って 帰るんだから、やっぱり納得できない。 青龍:……。 女神:何と俗世間的な発想。 今の話、人間の話かと思いましたよ。 白狐:人間にも油揚げが届かないことがあるのか? 青龍:そこじゃない。 女神:人間はよく 「相手の態度が急に変わった?」 「嫌なこと言われた。なぜ?」 「もしかして、嫌われた?」 そんなふうに、相手の気持ちを勝手に考えてしまう しかも一生懸命、夜も寝ずに。 白狐:人の気持ちなんて、分かるわけないだろ! 分かろうとするほうが無茶なんだ! 青龍:そんなこと言ってると、 「神様なのに、人の気持ちも読めないの?」って 言われるぞ。 白狐:では青龍。 お前は私の気持ちが分かるのか? 青龍:……。 白狐:ほらな。 女神:人の気持ちは、分からなくて当然です。 分からないからこそ、 人は言葉を交わし、確かめようとする。 けれど、確かめようのない相手の心まで、 想像して答えを出そうする。 「どうして?」を何度繰り返しても、 相手の心の中は読めません。 分からないものは、 分からないままでいいのです。 その代わり、 「私はどうしたいのか」 「私はどう感じているのか」 そこには、ちゃんと目を向ける。 相手の気持ちが分からないと、 自分が大切にされていないと感じるけど、 それは同じことではありません。 人の気持ちを疑って、自分の気持ちまで迷子に することはないのです。 白狐:なるほど。で、明日は油揚げ来るかな? 青龍:結局そこかよ。
